どう訳しても侵略美化正当化にしかならないと自覚していたのだろうか。
大阪朝日新聞 1940.2.28(昭和15)
夕刊 
「八紘一宇」の外語訳は避けてる
「精神深遠」と有田外相答う
貴院予算総会

二十七日の貴族院予算総会は十一時十六分開会 
大河内輝耕子(研究) 明年度の内地米穀増産計画および同外地増産計画および日満支の食糧ブロックに対する所見如何 
土屋農務局長 来年度の内地の増産は三百五十二万石である、ただいま審議中の予算として計上している、耕地の拡張改良による増産でその数量は四十万八千石、一段当り収量の増加による増産八十万八千余石である、そのほかは目下追加予算に計上すべく大蔵省と折衝中で説明するまでにいたっていない 
小磯拓相 朝鮮は二百三十八万石増産の見込である、台湾は十五年度二十七万石、十六年度四十九万石増産の見込であったがさらにこれに加えて各五十万石ずつの増産も見込んでいる 
島田農相 日満支を通ずる対策としては大体円ブロックに属する各国が自給自足によることを根本原則とし有無相通ずる方針をとる 
大河内子 一時的の不足の原因によって米穀増産を計画してもその結果あとになって過剰生産に困るるようなことはないか 
農相 今日の情勢において食糧について心配が生ずるという体験を得たので持込米は多々ますます弁ずるという風に考える、あとになって過剰米を生じたときは米穀自治管理法など従来出来ている法律によって善処出来るものと考える 
更に大河内子、農村の労力不足と満洲移民の調節に関する農林大臣の所見を質し 
農相 満洲の移民も国家百年の大計である、農村の労力不足の調節方法としては内地の労力を有効に使用することを考えている 
大河内子 予算編成の方針について今一度考慮する必要はないか 
桜内蔵相 今般の予算につき只今のところでは実行予算はつくるつもりはない、しかし予算の実行については慎重に経済情勢などを研究して注意してゆく 
大河内子 東亜新秩序、興亜八紘一宇、防共、これを外国語では如何に表現しているか 
有田外相 八紘一宇は深遠なる精神があるのでこれを外国語に訳することは避けている、他の三つの言葉は場合によって訳している 
中山太一氏(研究) 銃後農村に重要問題たる原料素材の輸出、農産品物価と工業品物価の関係如何 
次いで農村の教育、農村の負債整理の状況、農業と商工業産組問題などにつき意見の陳述があり、農相これに答え午後零時十四分休憩午後一時半再開