「秘」印
昭和十四年一月十八日 於回教及猶太問題委員会
上海猶太の現状と対策に関する私見
(大連、青島、上海現地調査報告速記)
軍令部 犬塚大佐
一、調査摘要
二、満洲猶太現状
三、青島猶太現状
四、上海猶太現状並に私見
(ハ)現状に於て緊要なる対猶太工作要点、之を簡単に申します。第一には現地の上海を当面工作の主要施行点と致しまして現地を中心として色々やる。第二には必要な組織を完成すること、此の問題は上海の存する限り永久的問題であるから、其の組織も永久的組織を要する、尚其の対策の実施が迅速でなければならぬ。第三には現地と中央各省との協力一致が相手方を日本に近寄らせる要点である。従来彼等は陸海軍は一致しないとか、現地と内地が一致しないとかで、彼等が手を伸べようとしてもどこに手を伸べてら宜いか其の判断に迷って居た。第四には皆うまい話しで親善的なことであるが、之を彼等が決意するに至ったのは彼等自身の必要から来て居る。彼等は世界的に排撃され、差当っては数十万の猶太人をどこに落付かせるか、之等の焦眉の急がある。即ち背後に牽制されるものがあるからして、彼等は従来の態度からプロ・ジャパンになって来たと見なければならぬのであって、此の状況を永久に続ける為には日本な外交の背後に於て彼等に対する牽制力を、常に有効なものを握って対峙するといふことが必要である。此の点従来の日本の猶太利用者は考究して居ないやうに思ふ、唯手を差述〔ママ〕べたら喰付いて来る、可愛がれば何時でもおとなしい、さういふ民族ではないのであるから、絶えず此の牽制力の把握といふことが根本問題であらうと思ふ。丁度外交の背後に武力がなければ有効でないと同様で、矢張り親善の手を伸べる背後には彼等をさうさせなければならぬものをこっちが握って居ることが根本対策として必要であると思ふ。従て現地に於ける対策機関も之に対する有効な措置が出来るやうなものでなければならぬと思ふのであります。従来どうも猶太問題に対しては、彼等の宣伝機関其他を憚って無策であって何もして居ない。それでは丁度武力戦に於て攻撃なき戦闘と同じである。殊に宣伝戦及経済戦或は色々な政略、之を比較するとどう見ても日本の方が劣勢である。さうすれば之に対しては活動力を大にして専制的な利益を占有しなければならぬ。従来のやうな消極的態度で、さうやったら斯ういふ害があると害ばかり考へて居っては何も出来ない、又それは結局状況を悪化さして行く、丁度日支事変が始った当時のやうなものである。要するに今日本が興亜といふ大きな目標に向って建設的態度で進んで居る時武力戦のみではいけないのであって、此の無流血戦争に対する備へを十分にしなければならぬと思ふ。向ふでは絶えず牽制と親善との両方の手を日本に対して伸べて居る、現に彼等はさういふ親善態度を現地の一部ではやって居るが、一方彼等の背後を探ってみれば色々な策動を日本に対して間接にやって居り、現地から色々排日的な電報が英米其他に多数行って居る。現に英吉利のヘラルド紙の特派員から、日本は大連で猶太人虐殺をやって居る、満洲でも非常な排撃をやって居るといふデマを飛ばして居る。こんな電報を打つのは彼等の外にない、尚現地の各国商業機関の主脳者から日本は権益を侵害して居るといふやうな決議を出させて見たり、現地のロイテルとかアヴァスの通信員から反日的宣伝をやらせて居るのは彼等の牽制策の一つである、之に対して無策で居ったら愈々劣勢を劣勢ならしめる事になると思ふ。
(ホ)組織並に対策急施の必要と充足すべき要点、此の要点を申しますと、第一に之は一つの国家勢力と見て之に対してやらなければならぬ。是は非武力戦の相手として日本は之を無視することが出来ない。即ち思想戦、経済戦、外交、宣伝、謀略、今の戦争を指導する上に於ても、将来の平和的建設に於ても、、此の国際的勢力を無視することは許されない。之に対しては中央でも之を国家民族的一台対象としてやらなければ、従来のやうな消極的態度になる虞がある。尚英、仏、米、現地等には之に対する大公使級の責任者を指定して置く必要がある、責任者がない為に今迄は黙殺されって物にならない、幣制改革当時のやうな錯誤を来たさないやうにしなければならぬ。次には猶太民族に対する認識が一般指導階級にまだ不十分であるので、絶えず常識化されなければならぬ現状にあると思ふ。之に対しても相当の機関が必要である。猶太民族の特異性がまだ十分に認識されて居ない、動もすれば他の国民と同じやうな態度で之に当らうとするから彼等にしてやられる隙を与へるが、現状に於ては危険を予期しても之をこちらに利用しなければならぬといふ状況である。丁度河豚料理のやうなもので、食べればうまいが、料理法を心得て居ないと生命取りとなるので、其の料理法を常識的に普及させなければならぬ。放送局でも先日猶太問題を放送したといふことで、間接に聞いたのですが、要するに猶太人を排斥してはいかぬ、利用しなければいかぬといふことであった由であるが、之も先程言った通り猫の首に鈴を付けたら宜いといふ議論で、実際の方策は何も持って居ない、それでは向ふに警戒させて、馬鹿にされて壊されるのが落ちであります。又外資導入をやるとすれば、之に対する警戒監視機関はどうしても常置しなければならぬ問題である。・・・之を真剣に取扱はないと結局今迄のやうに日英を離間され、日米を離間され、日仏を離間される。之をうまく利用すれば反対に彼等を離間することが出来るのである。現地に於ける猶太勢力を除いた他の者は大して考慮を要しない。又宣伝工作或は英国の極東政策も彼等をして牽制させれば宜いのである。表面英国を敵として色々なことをやらずとも斯ういふことは行ひ得ると思ふ、英国を相手とせずして現地に於て彼等を把握すると有利に状況を展開出来ると思ふ。従来之に対して何等積極的研究も対策も講ぜられて居らなかったので、差当り外務当局と致されては現地の調査を至急やって戴く、尚現地の組織を強化する必要があると思ふ。若し興亜政策といふものが、現在居る者は総て排撃しないでやって行くとすれば当然此の問題は重要な中心問題となると思ふ。現在の勢力で悪いものは総て排撃してしまふといふことが出来れば宜いが、現地に頑張って居る彼等を差当り日本に無害にする、日本が有効な政策を行ふ上に於て牽制して置くといふことだけでも、之に対する対策を実施しない限り行へない。勿論彼等を永久に利用することが出来るかどうかは更に調査を要するが、現状に於て少くとも彼等を全面的排日又英蘇の策動に踊らせないやうにするだけでも、此の目標に向って積極的態度を執る必要があると思ふのであります。
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レファレンスコードB04013210300(59枚目~)
民族問題関係雑件/猶太人問題 第十三巻
四、思想戦実施上注意すべき民族性の差異
(イ)大和民族
明朗
(ロ)猶太民族
表裏あり巧言令色
大和民族
平和正義に一貫するを貴ぶ(謀略を軽視す)
猶太民族
他民族征服搾取の為めに手段を撰ばず(武器無き戦に終始す)
大和民族
八紘一宇四海同胞
(西洋人崇拝)
(アバタもエクボ的警戒心稀薄)
猶太民族
猶太は神の選民他はゴイ(獣視)
(復仇的憎悪)
(愚弄的、敵味方共に利用す)
大和民族
皇室中心家族主義
(ハ)西洋人(一般的)
民主主義、個人主義
大和民族
◎皇軍思想(武を貴び武力戦に自信を有す)
西洋人(一般的)
◎ソルダ(売られたる者)、傭兵思想(武力戦に不利回避)
五、猶太「マソン」問題認識を困難ならしむる諸因
(イ)民族性の差異に依る了解困難なること
(ロ)猶太民族の特異性は大和民族には了解困難なること
(一)我が明朗なる還〔ママ〕境と心理を以て猶太民族の二千年来亡国流浪迫害の陰惨なる還境に鍛錬され排他的宗教戒律に鼓舞激励されたる他民族憎悪と復仇制覇の信念を納得すること容易ならず
(二)猶太民族の動向は複雑を極むるを以て率然其の一端を捉へ全般を推するは大なる錯誤を来すこと(彼等間には各種の相克あるも対異邦人には団結す)
(三)猶太民族指導階級が仏国革命以来特に顕著なる金権掌握、思想戦謀略遂行を目的とする宣伝機関制覇に邁進せる三世紀に亘る努力は従来日本「インテリ」の西洋認識にて認識すること至難
(四)日本の静養し教科書に二千年前亡国以来猶太民族に関し記載なし。事実は彼等の世界に大なる影響を与へし如き活動は其の後のものなり
(五)猶太人の便宜上使用せる英国人、米国人の仮装を剥ぐ如く教へられ居らず
(六)予備工作、外廓運動を重視せず従って警戒心も極めて希薄(例、自由民主主義、人民戦線運動及び其の背後にある「マソン」暗躍)
(七)思想戦観察の欠乏、思想戦的武装薄弱、思想国防意識の甚だしき不足
(八)外国の国体、政情、社会の裏面等要するに西洋国家の内部機構の秘密、国際情勢裏面研究の不足(例、防共協定成立当時の我が国一般輿論の反対的空気)
(九)国際秘密力に対する欧米愛国陣営、国民戦線派の苦闘に対する情報の不足(猶太側反宣伝の普及)フリーメーソンリーに就いて 軍令部海軍大佐 犬塚惟重
只今からフリーメーソンリー(日本の通称フリーメーソン)に就てお話申上げます。私は此席では思想戦的立場からフリーメーソンリーを研究して見たいと思ふのであります。従って思想国防上の見地から総ての問題を取扱ふことを御諒解願ひたいのであります。
フリーメーソンリーの問題はこれは深刻に政治、経済、思想、社会、日常生活などの中に欧米では入り込んで居ります。・・・尚此の結社は現代では「マソン結社員は人為的の猶太人なり」と欧米で云はれる程猶太問題とは離すべからざる関係にありますので、勢ひ猶太問題にも言及することとなります。仏国でもユデオマソン(猶太マソン)なる語が常用されて居ます。
一、フリーメーソンリーと日本開国以来の対日思想戦の関係
(イ)日本侵蝕の現状一般
大学とフリーメーソンリー、日本の知識階級の思想生活、自由民主主義の背後勢力、人民戦線の思想母体、等要綱に記してありますが、大体かういふ分野に於て侵蝕されて居ります。此等に就ては参考書に詳述されてありますから御覧下さい。
(ロ)対日攻勢の近例
具体的の最近の実例と致しましては英国に於ける反日国際大会でありまして、これはお手許に
(二)猶太対策の基調
第一に警戒監視に当る恒久的機関が必要であります。たとへ事変が終りましても、極東日本の勢力範囲内にはユダヤ民族存在し、特に支那対策上不離の関係に置かれ其の背後に英米仏国並に多数の猶太民族を有するソ連の存在する以上此の問題は永久に重視すべきものであります。尚ほ思想戦的に見れば、 人民戦線的思想と国民主義全体主義的思想とは現在では永久に闘争する運命に置かれ前者の背後には猶太民族あり後者の最も思想中心的存在である皇国とは、根本的に相容れざる存在であり、従って之れが思想戦的克服を完成するは皇国国体の尊厳宣布の上にも緊要なるのみならず、又皇国の存在理由であると考へられるからであります。経済問題に就いても亦、日本は金融的にも、海外防衛上からも多大の交渉を持ち又将来も然りであるのであります。尚ほ対策実施上には外廓機関を必要とする事は前述の通りであります。第二に対策の根本方針は当然国策に沿ひ国是に従ひ公明正大、八紘一宇的であり包容的でなければなりませぬが、第三の当面施策は対手の出方に依って時に峻烈なる膺懲を加へる事は打算的功利的猶太勢力を却ってまつろはしむる捷径である場合多きを過去の実例に依り銘記するを要するのであります。従って之れが実行機関たるべき警戒監視機関及び外廓機関は絶対に且つ永久に必要なのであります。此等無くしては結局常に彼等の思想戦経済戦力に圧倒せられ、已むを得ずして武力を常に行使せざるを得ない不利を伴ふに至るのであります。
結語
以上述べました如く最近は猶太問題といふものが国策としても対猶太策といふものをちゃんと決めて置かなければならないといふ事になり必要な手段が取られつゝあります。故にそれ等に対してやはり皆様方の各々の立場から御研究が必ず必要になって来ると思ひます。そこで貴重な時間の割愛を得まして今日フリーメーソンを中心として敢て卑見を開陳した次第であります。尚ほ配布致しました参考資料は各所属庁に保管の上成るべく多数の方に回覧せられ且つ利用せられん事を切望致します。御静聴を感謝します。終(一三、二、二四講演)
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レファレンスコードC14010450700
思想戦講習会講義速記 第3集/フリーメーソンリーに就て 犬塚惟重(1)
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